2005年11月5日

フランスの近郊の低所得者が住む地域(banlieu)で発生した暴動は、1週間経っても収束しないどころか、マルセイユ、トゥールーズ、ディジョンなどの地方都市にも拡大し始めています。毎晩のように車が放火され、すでに2000台の車が焼かれたほか、託児所や工場も放火されています。焼かれる車の多くは、貧しい人々の持ち物であり、貧困がさらに悪化する無政府状態になっています。

かつて「米国では人種差別に端を発する暴動が起きても、ヨーロッパには社会保障制度があるからそのような暴動は起こらない」と言われていましたが、今回のフランスの暴動はそうした常識が通用しなくなったことを意味しています。社会保障国家としてのフランスにとっては、痛い挫折であります。